手数料引き下げ競争の行き着く先…信託報酬までも“0%”ファンド

日本でも手数料引き下げの競争が激しく、ついに信託報酬0%のファンドが出たと聞きました※1。「ゼロ」とか「無料」といったキャッチフレーズはやはりインパクトがあって、「お得なのでは?」と興味をそそられるのは人情。日本でもアメリカでも同じです。

※1編集部注 野村アセットマネジメントの「野村スリーゼロ先進国株式投信」。信託報酬が0%、購入時手数料、信託財産留保額についても無料。ただし、信託報酬が0%なのは、2030年12月31日まで。

ここアメリカでも、手数料に対する消費者意識はどんどん高まってきました。15年前には1.5%とか2.0%などという手数料を課しているファンドも案外あったものですが(そして、それらに投資する人も案外いたものですが)、最近ではインデックスファンドなら0.30%以下はふつう、0.10%以下も珍しくなく、0.05%以下でも驚かなくなりました。また、ファンドの手数料だけでなく、ファンドを組み合わせてポートフォリオをつくり維持運用するアドバイザー手数料(10年前くらいまではロボアドバイザーではなく、人を介するサービスが主でした)も高額で、投資全額の1%とか2%はよくありました。これが昨今では急速にロボアドバイザーに置き換わり、その手数料も急速に下がってきています。

ファンドもロボアドも手数料の引き下げ競争は加速度的で、A社が下げればB社がそれに競うように下げ、C社はさらにその下を行く……と、行きつく先はゼロということになるわけですね。しかしながら、このゼロ、どうなんでしょうね。私たちはみな、会社の経営は非営利の慈善事業でないことは承知していますし、「タダより安いものはない」といいますから、何か見えない“裏”があって当然。そこをどう考えるかが今日の記事の課題です。