2020年に行われた年金関連の法改正は人生100年時代を迎え、長く多様な働き方が可能になった環境に合わせて、老後への備え方も一人ひとりが自分に合った形で選択できるようにするものです。

iDeCoは加入や受け取りの選択肢が広がります。今回は、法改正の中でも注目の「受取開始可能時期の繰り下げ」について解説します。

公的年金と足並みをそろえた「受取開始可能時期の繰り下げ」

受け取りの開始時期は、一時金や年金、または併給といった受け取り方同様、ご本人が選ぶことができます。現在の選択肢、「60歳から69歳11カ月までの間」から「60歳から74歳11カ月までの間」に拡大するというものです。

これは、公的年金の受取開始可能時期を75歳までに繰り下げたため、それに合わせる形でiDeCoの受取開始可能時期も遅らせられるようにしたものです。

ただ、私はこの件についてはあまり魅力を感じていません。なぜなら、iDeCoは公的年金とは異なり、受取開始可能時期を遅らせても受取額がそれほど増えず、むしろ減ってしまう可能性もあるからです。