下落局面で注目したい「ディフェンシブ銘柄」とは

武田薬品工業株式のような医薬品銘柄は、一般に「ディフェンシブ銘柄」に分類されます。これは業績が景気の変動の影響を受けにくいとされる企業の株式のことを指します。医薬品のほか、食品や電力・ガス、鉄道など生活に欠かせない商品やサービスを手掛ける企業の株式が代表的です。

ディフェンシブ銘柄はその特徴から、下落局面に強いとされています。例えば2020年2月に起こったコロナショックでは、市場平均より比較的小さな下落幅にとどまりました。

【コロナショック時のTOPIXと業種別ETF(2020年1月末=100)】

Investing.comより著者作成

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2022以降は株式市場の下落が目立つようになっています。不安定な相場をディフェンシブ銘柄で乗り切るという戦略もよいかもしれません。

もちろん、景気変動とは別の要因で下落することも往々にしてあるため、投資の際は個別に分析することが望ましいです。例えば医薬品銘柄は、主力製品の特許切れや新薬開発の進捗などが株価変動の材料となりやすいと考えられます。

ちなみに、ディフェンシブ銘柄と反対に、景気によって業績が大きく左右される企業の株式を「景気敏感株」といいます。鉄鋼や化学、また紙パルプのように、別の製品に用いられる素材を扱っている企業の株式などが該当します。景気が悪化するとこれらが用いられる最終財の消費が減少し、結果的に素材メーカーにもその影響が波及する構図です。

景気敏感株は値動きが大きい傾向にあるため、投資の際はやはり慎重に検討してください。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。