さらに市場を冷やした「マネックスショック」とは

ライブドアショックと合わせてよく語られるのが「マネックスショック」です。ライブドア事件を受けて講じたマネックス証券の措置が、さらなる下落を誘引したといわれています。

マネックスショックは、「信用取引」に関連して引き起こされました。まずは信用取引について基本を押さえましょう。

信用取引とは、証券会社から信用の供与を受け、自己資金以上の取引ができる方法です。ただし、取引金額の30%分の担保を差し入れなければ取引を始められません。言い換えれば、差し入れた担保の約3.3倍までの取引ができる点が信用取引の強みです。

担保は現金である必要はなく、原則として株式を差し入れても構いません。ただしその場合、額面の80%まで割り引かれて評価されます。例えば100万円分の株式なら、担保としては80万円と扱われます。

信用取引のポジションを持った後は、少なくとも担保の評価額を取引金額の20%以上に維持しなければならないルールがあります。仮に信用取引で1000万円分のポジションを持った場合、担保評価額を200万円以上にキープしなければいけません。

そして信用取引で生じた評価損は、担保から差し引かれます。従って、評価損が積み上がり、担保評価額が取引金額の20%を下回った場合、ポジションを解消するか新たな担保を差し入れる必要が生じます。これが信用取引の基本的な仕組みです。

マネックスショックは、担保に差し入れる株式を巡って起こりました。上述の通り、株式は額面の80%まで割り引かれるものの、信用取引の担保として差し入れることが可能です。しかしマネックス証券は、突如としてライブドア関連銘柄を担保と認めないと発表しました。

これに困ったのが、既に同銘柄を担保に信用取引を行っていた投資家です。担保の評価額が突然ゼロとなったため、ポジションの解消を強いられるケースが相次ぎました。また他の証券会社が追随するのではないかという懸念も広がり、連鎖的な売りが市場に広がったといわれています。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。