“価格の優等生”を支える国の補助とは

最近は価格の上昇が顕著な卵も、もともとは“価格の優等生”と呼ばれるほど値動きが安定していました。「消費者物価指数」によれば、食品全体は1970年比で約3.6倍に上昇していますが、鶏卵はおよそ1.7倍にとどまっています。1980年以降では大きな値上がりはほとんど見られません。

【消費者物価指数(1970年=100)】

総務省統計局「消費者物価指数」より著者作成

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卵が安い状況が長く続いている理由として、供給過多が指摘されることがあります。需要に対して多くの卵が供給されるために需給が緩み、値上がりしにくいとするものです。

その遠因とされるのが、生産者に対する手厚い公的な支援です。例えば代表的な「鶏卵生産者経営安定対策事業」では、卵が値崩れした際に補填や奨励金の交付を行います。これらは卵の安定供給に資することとなりますが、生産者同士の競争が進みません。従って、結果的に供給が多くなりやすい状況を作り出すことになります。

【主な鶏卵生産者経営安定対策事業】

 

栄養豊富な卵が安価で手に入ることは、好ましいと感じる人は多いでしょう。しかし、そのための公費投入は賛否が分かれるかもしれません。

 

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。