・電気代高騰で巨額赤字、相次ぐ倒産…東電と「新電力」の決定的な違い

2022年3月25日、東京地裁は鶏卵大手「イセ食品」の会社更生手続き開始を決定しました。会社更生法の適用を申し立てたのはオーナーの実子だったことから、親子関係のひびを指摘する声も少なくありません。一体何が起こったのでしょうか。

「森のたまご」で知られる大手鶏卵業者が破綻

イセ食品は1912年に創業された大手の鶏卵販売業者です。国内でいち早く鶏卵の大量供給体制を整えたことで業容が拡大し、2018年1月期では約471億円の売上高を計上していました。1990年から販売された「森のたまご(旧:杜のたまご)」は同社の看板商品となっています。

しかし新型コロナウイルスの拡大などで業績が悪化し、イセ食品は資金繰りに窮するようになりました。取引金融機関と交渉するも折り合わず、債権者などから会社更生法の適用を申し立てられます。

会社更生とは、裁判所が選任する管財人の下で事業の再建を図る手続きです。第三者からの申し立ては、一般に一定の債権を持つ金融機関などが行いますが、一定の議決権を持つ株主も申し立てることができます。そのうちの1社が、イセ食品の前会長の長男が経営する「ISEホールディングス」でした。一部のメディアは事業承継を狙ったと伝えていますが、真意は明らかになっていません。

イセ食品はスポンサーとしてSMBCキャピタル・パートナーズを迎え、同社からの出資を受けつつ再建を目指すとしています。