「宗教法人に税金がかからない」の誤解

宗教法人を巡っては「非課税だから不公平だ」と批判する声がよく聞かれます。確かに宗教法人は法人税などが課税されないこともありますが、全く税金が発生しないわけではありません。

まず、宗教法人は宗教活動といった公益事業を行いますが、公益事業以外の事業を行うことも認められています。ただし、その収益は宗教法人のために使わなければいけません。

【宗教法人法第6条「公益事業その他の事業」(抜粋)】
1.宗教法人は、公益事業を行うことができる。
2.宗教法人は、その目的に反しない限り、公益事業以外の事業を行うことができる。この場合において、収益を生じたときは、これを当該宗教法人、当該宗教法人を包括する宗教団体又は当該宗教法人が援助する宗教法人若しくは公益事業のために使用しなければならない。

出所:e-Gov法令検索 宗教法人法

宗教法人が行う公益事業には原則として法人税が課されません。このことから、宗教法人は非課税という認識が多く広がっているのでしょう。

ただし公益事業以外の事業は「収益事業」といい、法人税が課税されます。また一定の事業は消費税も課税対象です。従って、宗教法人が非課税というよりは、公益事業が非課税になるという認識の方が正しいかもしれません。さらに住職や僧侶といった個人ベースでは、私たちと同じように所得税が課税されます。

このように、宗教法人も一般の事業会社も行うような事業を行えば、法人税や消費税が当然かかってきます。宗教法人だからといって、税を不正に免れているわけではないため注意しましょう。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。