交付金の厳格化で畑地化を図る農林水産省
米の収穫量は年々減少傾向にあり、最近は平成の米騒動となった1993年をも下回っています。しかし、当時と異なり米不足を懸念する声はほとんど聞かれません。それだけ米に対する需要が低下した証といえるでしょう。米の需要が低下した背景には、食が多様化し米以外の主食が浸透したこと、少子高齢化が進み消費量が低下したことなどがよく指摘されます。
【水稲の収穫量(2000年~2021年)】
農林水産省は、需要が低下する主食用の米以外の作物を作ってもらうよう、さまざまな支援を用意してきました。代表的なものが「水田活用の直接支払交付金」で、例えば水田を活用し麦などに転作した農家には10アールあたり3.5万円を支給します。
【水田活用の直接支払交付金(戦略作物助成)の概要(2022年度)】
※1.WCS=ホールクロップサイレージ。フィルムでロール状に包み発酵させた飼料
なお、上記交付金は2022年度に制度が厳格化され、2026年度までに1度も水を張らない水田は2027年度から支給されないこととなりました。水分を嫌う作物へ転作していた農家は、水田に戻すか畑地化するか選択を迫られることとなったのです。
農林水産省は「畑地化促進助成」を実施し、農家の畑地化を支援する姿勢を見せています。しかし畑地化すると水田活用の直接支払交付金の対象外となるため、農家には難しい判断となりそうです。
【畑地化促進助成の概要(2022年度補正予算)】
※1.加工・業務用野菜などは3万円
※2.加工・業務用野菜などは15万円