農業は次世代社会における成長産業に

あかつき証券、SMBC日興証券、香川証券の各証券会社店舗で購入できる「グローバル・アグリカルチャー&フード株式ファンド」への関心が高まっている。ファンドの設定・運用は日興アセットマネジメントで、マザーファンドの運用は、米国の運用会社であるラザード・アセット・マネジメント(以下、ラザード)が行う。
人々の食料危機に対する関心は高い。同ファンドのコンセプトについて、複数の販売金融機関に感想を聞いたところ、「食料危機は今後の最重要テーマ」、「農業関連は期待できる」、「農業は、人が生きていくうえで必要なもの」といった声が、数多く寄せられた。

グローバルでも、農業に対する関心は高まってきている。米Amazonの創業者であるジェフ・ベゾス氏は、アグリ・ベンチャー企業に多額の出資を行い、米マイクロソフト創業者であるビル・ゲイツ氏は、米国で最大の民間農地所有者だ。名だたる起業家の多くが農業に注目し始めていることからも、農業は紛れもなく、次世代社会における成長産業になりうるだけの潜在力を持っている。

なぜ、食料をテーマにしたファンドを立ち上げようと思ったのか。日興アセットマネジメント資産運用サポート部グループマネージャーの西岡佑氏は、このファンドの新規設定については3つの理由があるという。それは、「第一に、地球温暖化現象と人口増加による食料危機。第二は、農業・食料分野の株価がユニークであること。第三は、農業・食料分野の足元で大きなイノベーションが起こっていること」(西岡氏)だ。

第一の理由については、恐らく多くの人が何となく理解しているだろう。ニュースにも頻繁に取り上げられており、地球の気温は年々着実に上昇している。「温暖化が進めば水不足が深刻になり、穀物の育成にダメージを及ぼします」(西岡氏)。また人口増加も、食料確保にとって深刻な問題だ。日本をはじめとする先進諸国では人口が減少傾向にあるが、インドやアフリカではまさに人口爆発が起こっている。2022年11月に80億人を突破した世界人口は、2058年には100億人を超える。人口が増えれば食料需要が高まるため、「フードロスを無くすのと同時に、テクノロジーによって農業の生産性を向上させ、かつフードエボリューションと言われる、植物肉や培養肉、昆虫食の研究開発が一段と加速すると考えています」(西岡氏)という。