ジャパンディスプレイが連発する「世界初」の技術は切り札になり得るか

電機メーカーの再編で誕生した企業といえば「ジャパンディスプレイ」が知られます。ソニー、東芝、日立のディスプレー部門を統合し、2012年に事業を開始しました。2014年3月には上場も果たしています。

しかし同社は2014年3月期を最後に利益が出ておらず、2022年3月期まで8期連続で最終赤字となりました。継続企業の前提に疑義が付されており、破綻の可能性は決して低くありません。ジャパンディスプレイは借入金や子会社の売却で当座をしのぎますが、経営の先行きは不透明です。

そんなジャパンディスプレイは昨年、新技術の発表が相次ぎました。マスクレス蒸着技術や3D撮影技術など、「世界初」を冠するリリースが5回も発表されています。

【ジャパンディスプレイが2022年に発表した主な技術】
・3月:高移動度酸化物半導技術および超高移動度酸化物半導体技術
・5月:マスクレス蒸着かつフォトリソ方式有機EL「eLEAP」の量産技術
・6月:フレキシブルLTPS TFT圧力分布センサー
・10月:自由照明「LumiFree」の量産技術
・11月:通常の映像とデプスマップの双方を取得する3D撮影技術

ジャパンディスプレイは、技術の高さを武器に業績を改善できるでしょうか。今後の動向が注目されます。

【ジャパンディスプレイの業績】

※2023年3月期(予想)は、同第2四半期時点における同社の予想

出所:ジャパンディスプレイ 決算短信

【ジャパンディスプレイの株価】

Investing.com より著者作成

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執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。