脱コロナで追い風の航空機メーカー

新型コロナウイルスが拡大した2020年は、多くの国で行動が制限されたため、航空機に対する需要が大きく落ち込みました。ジェット機の納入機数も、前年から急減しています。

【ジェット機の納入機数】

日本航空機開発協会「民間航空機に関する市場予測2022-2041」より著者作成

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しかし経済活動が再開に向かうと、今度は世界的に航空機不足が懸念されるようになりました。航空機メーカーにとっては受注の好機であり、打撃を受けた業績も回復に向かうかもしれません。

また、航空機の需要は長期的に増加することも期待されています。日本航空機開発協会は、世界の航空会社が運航するジェット旅客機の数が、2021年の2万4055機から2041年に4万1358機に増えるという予想を立てました。うち5714機は既存機ですが、それを差し引いた3万5644機の需要が発生する計算です。

【ジェット旅客機の需要予測】

日本航空機開発協会「民間航空機に関する市場予測2022-2041」より著者作成

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このように、航空機メーカーは中長期的な売り上げが見込めることから、投資先として検討する人も多いでしょう。

航空機メーカーといえばボーイングやエアバスといった外国企業が有名ですが、実は日本企業も製造に携わっています。例えば2011年に就航した「ボーイング787」では、三菱重工業や東レといった大企業が参加しました。航空機の受注が盛り上がれば、これらの企業にも恩恵が期待できるでしょう。

【ボーイング787の製造に参加した日本企業】
・主翼:三菱重工業
・中央翼:富士重工業(現SUBARU)
・前部胴体:川崎重工業
・炭素繊維:東レ
・エンジン:川崎重工業、三菱重工業、IHI

出所:経済産業省  我が国航空機産業の現状と課題(平成25年3月)

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。