MRJは撤退…国産ジェット機「ホンダジェット」は大丈夫?

ロールス・ロイスを破綻に至らしめた航空機開発は、近年日本でも機運が高まっています。特に2008年に発足した三菱航空機の「MRJ」は、国産初のジェット旅客機になるかと期待されていました(MRJは2019年に「スペースジェット」へ名称を変更)。

しかし、残念ながらMRJは、旅客機の採用に際して求められる「型式証明」を現在まで取得できていません。親会社の三菱重工業は、2020年10月発表の事業計画で航空機開発事業の凍結を発表し、事実上撤退します。

MRJは頓挫しますが、本田技研工業の「ホンダジェット」は順調に開発が進みました。MRJより小型で、ビジネスジェット機(いわゆるプライベートジェット)としての運用を想定した航空機です。

本田技研工業は1986年から航空機の研究に着手し、1997年にホンダジェットの特徴である「翼上エンジン」という着想を得ました。従来のビジネスジェット機が胴体後部にエンジンを搭載するところ、主翼の上にエンジンを配置することで、室内スペースを広く取れるほか、騒音と振動を低減でき、さらに空気抵抗の減少により飛行速度や燃費が向上する画期的な発見でした。

ホンダジェットは2003年の飛行試験をクリアし、2005年に初公開された実験機が多くの支持を得ます。2006年には「ホンダエアクラフトカンパニー」を設立し、ホンダジェットの開発を本格化させました。そしてついに2015年、アメリカで型式証明の取得に成功します。

以降、ホンダジェットは各国で型式証明を取得し、2018年には日本でも認められました。販売は好調で、同クラスの航空機では納入機数が2022年まで5年連続で世界首位となっています。昨年10月には新型機「HondaJet Elite II(ホンダジェット・エリート2)」を発表し、注目を集めました。

【本田技研工業の業績】

※2023年3月期(予想)は、同第2四半期時点における同社の予想

出所:本田技研工業 決算報告書

【本田技研工業の株価】

Investing.com より著者作成

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