投資信託を取り扱う銀行や証券会社にとって、運用会社を選ぶ一番大きなポイントは、いうまでもなく「運用力」だ。ただ、運用環境や社会的な関心の変化などによって、運用会社に求める「運用力」の在り方も変化する。金融機関に勤務し、投資信託をはじめとする金融商品の販売関連業務に携わる読者を持つ金融リテール専門誌『Ma-Do』が実施した「運用会社ブランドインテグレーション評価2022」で分かった変化は、「一貫した運用哲学」に対する評価の高まりだった。特に、本部では一貫した運用哲学を重視する傾向が強く、支店では運用経験が豊富な運用者が多数在籍など運用体制の充実を評価する傾向が強まった。

「運用会社ブランドインテグレーション評価」は、投信販売会社が運用会社を評価する調査で、運用会社について「運用力」「商品開発力・企画力」「営業担当者・研修担当者の質」「サポート力」「ブランド力」「ガバナンス」の6つの軸で評価してもらい、得点順にランキングした。2022年調査は9月~10月にWEBで実施し、国内外の運用会社36社を評価の対象とし、310件の回答を得た。

運用実績においてアクティブファンドへの関心高まる

販売会社にとって運用会社を選ぶポイントとして「運用力」は、重要度を5段階評価した平均が「4.7」になるほど突出した要素になっている。これは、本部と支店に関係なく最も重視する項目としても不動だ。「運用力」に次いで重視する項目が「サポート力」になるが、その得点は本部が「4.5」、支店が「4.3」であり、運用力が頭一つ抜け出て重視されていることがわかる。

この「運用力」について、より具体的に何を重視しているのか聞くと、最も高い回答率になったのが「リスク/リターン、コスト/リターンの良い運用」だった。本部では88.1%が重視する項目に入れ、これは前年の80.0%から一段と比率を高めた。また、支店でも82.0%になり、こちらも前年の78.6%から上積みしている。この項目は、現在の投信市場で人気を集めている「低コストのインデックスファンド」を象徴している。リスク・リターンは市場平均に収れんされるが、抜群のコスト・パフォーマンスになる。本部職員も顧客と相対している支店職員も、いかに投資信託の「コスト」に敏感になっているかがわかる。