連絡なし、給与なし…それでも着付けを実施した従業員の思い

はれのひは世間から大きく非難されますが、「福岡店」については称賛の声が集まりました。はれのひ福岡天神店は、本社の指示がない中、独自に着付けを実施したのです。

報道によると、同店は前年9月から給料が支払われておらず、2018年に入ってからは社長と連絡すらついていませんでした。そのような状況で、同店は独自に業者と交渉し、本社の未払いによって不足していた振袖を準備します。さらに着付け業者やヘアメイクを担当する美容室に事情を説明し、なんとか当日の着付けが行える体制を作り出しました。こうして福岡天神店は、123人もの着付けを無事にやり遂げたのです。

報酬を支払う見込みがなく、ボランティアを強いてしまう交渉が簡単だったはずがありません。福岡天神店が新成人のことを考え、いかに必死に訴えたかがうかがえるエピソードといえるでしょう。翌日には同店も閉店し無人となりますが、店舗には着付けを受けた新成人が感謝を伝えるため訪れていた様子が見られたそうです。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。