異常気象は商品市況への影響大

干ばつだけでなく、今年は世界的に自然災害に見舞われた年でした。ヨーロッパや南米など幅広い地域が干ばつの危険にさらされ、アメリカでは巨大なハリケーンが、パキスタンやブラジルでは大規模な洪水が発生しました。保険大手のエーオンによると、自然災害による経済損失は2270億ドル以上にも上るようです(9月末時点)。

出所:Aon Natural Disasters Cost Global Economy $227+ Billion Through End Of Q3 2022, According To Aon Catastrophe Report

自然災害は作物の収量を減少させるため、一般に価格の上昇要因です。今年は異常気象による被害が多発したことに加え、2月にロシアとウクライナの武力衝突が発生し、商品市況で大きな値動きが発生しました。金は比較的安定していたものの、小麦や原油などは急騰したため、世界的なインフレを引き起こした原因の1つと考えられています。

【商品先物の値動き(2022年1月3日を100とした場合)】

Investing.comより著者作成

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自然災害は増加傾向にあるといわれており、エーオンは2010年代の経済損失は2000年代と比較し約1兆ドル増加したと発表しました。今年のように商品市況が急激に変動するケースは今後も十分考えられます。商品先物の取引は慎重に判断するようにしてください。

 

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。