・被害額1200億円超! 大型詐欺で破産の衝撃…3万人以上がだまされた手口

2016年11月28日、目の治療薬などの開発を手掛ける「アキュセラ・インク」(現・窪田製薬ホールディングス)が上場廃止となりました。同銘柄は6営業日連続のストップ安を記録し、短期間に8割以上値下がりしたことで投資家に有名でした。

なぜアキュセラ・インク株式は急激に下落したのでしょうか。

開発失敗で株価9割下落

「ストップ高/ストップ安」とは、制限値幅いっぱいまで株価が変動することをいいます。日本の株式市場は1日あたりの株価変動が一定以下に抑えられており、前日の終値などを基準として制限値幅が設定され、基本的に制限値幅を超える値動きは起こりません。

【制限値幅の例】

※臨時的に制限値幅が拡大されることもある

出所:日本取引所グループ 内国株の売買制度

「連続ストップ高/連続ストップ安」とは、制限値幅いっぱいの値動きが連日発生する現象です。冒頭のアキュセラ・インクは、2016年5月25日~6月1日まで6営業日連続ストップ安を記録しました。

【アキュセラ・インクの株価(2016年5月2日~6月30日)】

ヤフーファイナンスより著者作成

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当時、アキュセラ・インクには新薬開発に対する期待が集まっていました。株価は2016年5月25日の取引時間中に7700円まで上昇しています。しかし突如ストップ安まで急落し、翌日にアキュセラ・インクが開発失敗を公表したことから、同銘柄には売りが集まりました。株価は同年6月25日の取引時間中に953円まで下落しており、わずか1カ月で87.6%以上も値を下げたことになります。

連続ストップ安となっていた5月26日から6月1日まで、株価は制限値幅の下限に張り付いて推移しました。これは売りが殺到し、ザラ場(※)中に売買が成立しないときに見られる現象です。アキュセラ・インク株式の保有者は、その多くが売りたくても売れない状況に陥っていました。

※ザラ場:取引時間のうち、「寄り付き」と「引け」以外の時間帯のこと。ザラ場中は買いと売りを順次対当させて売買を成立させる「オークション方式」で、寄り付きと引けでは買いと売りをまとめて対当させる「板寄せ方式」で売買が成立する。