利益97%減。新電力が苦戦する理由

帝国データバンクによると、2021年度における新電力の倒産は14件となり、それまでの最多だった前年度(2件)を大きく上回ります。2022年2月の販売利益(推計)は、前年同月比で約97%減と大幅に悪化しました。

出所:帝国データバンク 「新電力会社」倒産動向調査および「新電力会社」事業撤退動向調査(6月)

新電力が苦戦した理由は、パネイルのケースと同じく電力の仕入れ価格の上昇にあります。電力卸市場の価格は上昇傾向にあり、その平均値は電力の全面自由化が行われた2016年度から2022年度(11月6日まで)までに2.5倍以上に値上がりしました。

【電力スポット市場価格(システムプライス)の平均値・最大値】

※2022年度は11月6日まで

出所:日本卸電力取引所 取引情報

電力価格が高騰した理由はいくつかあり、猛暑や寒波で需要が増加したこと、原油高や円安で上昇した発電コストが反映されたことなどが挙げられます。

仕入れ費用が上昇しても、販売価格に転嫁すれば利益は残るでしょう。しかし新電力は従来の電力会社との競争もあるため、料金の引き上げは簡単ではありません。結果的に多くの新電力で収益の悪化が起こり、倒産や新規契約を打ち切る業者が相次ぎました。

今年の冬も電力需給の逼迫が懸念されています。政府は2022年12月1日から2023年3月31日まで、節電の要請を決定しました。電力価格がさらに高騰すれば、再び新電力の破綻や撤退が増えるかもしれません。