・大手回転寿司チェーンが不祥事で株価暴落…業界に相次いだ負の連鎖

2000年3月、利用者が電気の購入先を選ぶ「電力自由化」が導入されました。当初は一部の利用者が対象でしたが、2016年4月に全面的に拡大され、現在は原則誰でも電気の購入先を選ぶことができます。制度開始以降に参入した電力小売業者を「新電力」と呼び、従来の電力会社より安い料金で勢力を拡大してきました。

しかし昨年、有望とみられていたベンチャー企業が経営破綻し、同年11月24日に関連する新電力7社が同時に破綻します。背景には新電力のビジネスモデルが抱えるリスクがありました。

新電力7社が一斉に破綻

新電力が一斉破綻したきっかけは2021年5月に起こります。新電力を手掛けていたパネイルが東京地裁に民事再生法の適用を申請し、経営破綻したのです。

パネイルはもともと太陽光関連の事業を行っていました。しかし電力の自由化が全面的に拡大されると、新電力へ業態を変貌させます。ITを活用した技術で業績を伸ばし、経済産業省が有望なベンチャー企業を選出する「J-Startup」にも選ばれていました。

しかし2018年9月期、パネイルは26億円を超える純損失を計上します。主な原因は電力の仕入れ価格の高騰でした。新電力は、従来の電力会社が発電した電気を卸市場から調達し、利用者に販売します。2018年は6~8月にかけて記録的な猛暑となり、電力需給が逼迫しました。電力市場の価格も急騰したことから、パネイルでは仕入れ価格が販売価格を上回る「逆ざや」が発生します。

【電力スポット市場価格(システムプライス)の推移(2018年度)】

日本卸電力取引所より著者作成

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パネイルは経営改善に努めたものの、再び2021年1月に電力価格が高騰し、資金繰りが悪化しました。パネイルは自主再建を諦め、上述の通り2021年5月に法的整理を選択します。パネイルに関連する新電力会社も、2021年11月24日に一斉に経営破綻しました。

【同時に破綻したパネイル関連の新電力】
・札幌電力
・宮城電力
・東海電力
・東日本電力
・西日本電力
・広島電力
・福岡電力

出所:帝国データバンク 倒産情報