根本光司さん(仮名)は茨城県内にある大手食品加工会社の工場に勤務する会社員。同い年の妻・祐美さんは、家から徒歩圏内のスーパーマーケットでパートとして働いています。共働きとはいえ、自宅の住宅ローンや根本さんの両親への仕送りで自転車操業状態だった根本家の家計が、都内の大学に進学した長男に仕送りをするようになって急速に悪化。今年の春からは、老後のためにコツコツためた虎の子の預金を取り崩していました。

さらに、最近の物価や光熱費の上昇が加わって危機感を覚えた根本さん夫妻は、話し合いの末、祐美さんがパートで働く時間を増やして当面の赤字を回避する計画を立てました。しかし、その計画の前に立ちはだかったのがパートの「106万円の壁」です。祐美さんのパート先の地元のスーパーチェーンは従業員が200人ほどで、今年10月からパートやアルバイトなどの短時間労働者も一定条件を満たすと社会保険に加入しなければならなくなりました。これまで収入を所得税のかからない103万円以内に抑えていた祐美さんが規定通り社会保険に加入すると、月に2万円分多く働いても、手取り収入は5000円ほどしか増えません。これに頭を抱えた根本さん夫妻は、一念発起してある専門家に相談することにしました。

〈根本光司さんプロフィール〉
茨城県在住
48歳
男性
会社員
パートの妻と2人暮らし
金融資産250万円

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わが家は私が会社員、妻がパートで“ダブルインカム”ではありますが、手取り月収は2人合わせても35万円ほど。自宅の住宅ローンに加え、隣町に住む親の生活費も援助しているため、もともと、それほど経済的な余裕があるわけではありません。

さらに一昨年、一人息子が都内の私立大学に進学してからは一層家計が苦しくなりました。大学の学費は奨学金で賄ってもらっていますが、下宿先の家賃や生活費など毎月7万円の仕送りが必要です。息子が2年生の時までは学資保険の保険金でどうにかやりくりできたものの、今年の春からは老後資金用にコツコツためた銀行預金を毎月2万円ずつ取り崩しています。