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コロナ禍で航空会社は大変な業績悪化を経験しました。大手2社の決算をチェックすると、影響が大きかった2021年3月期は、2019年3月期比で売上高が6割以上消失しています。

【ANAホールディングスと日本航空の売上高】

※ANAホールディングスは日本会計基準、日本航空は2021年3月期のみ国際会計基準。決算短信より著者作成

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両社は現在まで存続していますが、コロナ禍を乗り越えられなかった航空会社もありました。2020年11月17日に経営破綻した「エアアジア・ジャパン」です。同社は航空業界初のコロナ関連倒産となりました。エアアジア・ジャパンが破綻した経緯を振り返りましょう。

コロナ後初の航空会社の倒産

エアアジア・ジャパンはマレーシア系のLCC(格安航空会社)でした。2017年10月に日本に就航し、当初は名古屋―札幌間を片道5円で結ぶ格安のセールで注目を集めます。また、中部国際空港セントレアに本社を置く唯一の航空会社としても話題でした。

しかし、外注費などの負担から2019年12月期に約47億円の赤字を計上するなど、コロナ前から厳しい経営状況が続きます。そして新型コロナウイルスの感染拡大が本格化した2020年4月、エアアジア・ジャパンは全便を運休させました。8月に国内線の一部を再開しますが、10月に再び全路線の停止を発表します。

さらにエアアジア・ジャパンは、需要の回復が見込めないことから、4つの路線全てを廃止する旨を国土交通省に伝え、日本から撤退しました。エアアジア・ジャパンにはおよそ270人の従業員がいましたが、その大部分は解雇されたと思われます。

そして2020年11月17日、エアアジア・ジャパンは東京地裁へ破産手続きの開始を申し立て、約217億円の負債を残し経営破綻しました。

LCCは従来の航空会社より安く旅客を運ぶため、一般に搭乗率を高く維持しなければうまく利益を得られません。コロナショックに見舞われたことでビジネスモデルが崩壊したこと、またエアアジア・ジャパンは日本就航からわずか3年目だったことから、危機を乗り切る経営体力がなかったことなどが破綻した原因だと考えられます。