再びタリバン政権樹立

米国同時多発テロ以降、アメリカは中東へ強く関与しましたが、その成果を疑問視する声は少なくありません。特に2021年8月にタリバンが再びアフガニスタンを掌握すると、その声は一層強まりました。

そもそも2001年のアメリカによるアフガニスタン侵攻で、タリバンが完全に消滅したわけではありません。アフガニスタン各地に潜伏し、治安維持活動を行う国際治安支援部隊(ISAF)に対する武力抵抗やテロ活動を行ってきました。タリバンは政権を失ってもなお、アフガニスタンで一定の勢力を維持していたのです。

トランプ政権下のアメリカは2020年2月、タリバンと和平合意を締結しました。2001年から現地に駐留していたアメリカ軍の撤退を盛り込む内容です。アメリカが撤退を決めた背景に、2011年に米国同時多発テロの首謀者とされるビンラディン氏を殺害したこと、アメリカ軍の駐留費削減を求める声が強まったことなどが考えられています。

アメリカ軍の撤退が本格化すると、タリバンは勢力地域を急激に拡大させました。2021年8月15日には首都カブールを掌握し、タリバン政権が再び誕生します。アメリカによるアフガニスタン民主化は、事実上失敗に終わりました。