昨今、SNSなどを中心に「日本株はオワコン……」という声も目立ちます。確かにデフレが長く続いた日本において、多くの投資家が“悲観”に傾きがちなのも無理はないのかもしれません。

しかし、武者陵司氏は日本企業の稼ぐ力は過去最高に高まっていて、日経平均4万円はすでに射程圏内、10年後には10万円も夢ではないと言います。その理由について語り下ろされたのが、話題の書籍『日経平均は4万円になる!』(宝島社)です。今回は同書の第2章「半導体・ハイテクが拓く日本の活路」より、一部を特別に公開します(前・後編の全2回)。

●前編はこちら

※本稿は武者陵司『日経平均は4万円になる!』(宝島社)の一部を再編集したものです。

個人投資家の参入が加速すれば日経平均4万円は確実

前編の冒頭でも述べたように、私は日本の景気の先行きに対して強気の姿勢で見ていますし、日本株もまだまだ上昇すると思っています。コロナショックの前後からネット証券の新規口座開設数が記録的な増加を遂げており、人々の株式に対する期待の高まりがうかがえます。

実際のところ、足元の株価上昇を支えている主役は個人投資家だと言っても過言ではないでしょう。まず、図2に注目してください。東証のメインプレイヤーである外国人投資家は、アベノミクスに大きな期待を寄せた当初は大量に日本株を買い越していました。しかし、次第に彼らの累計投資額は縮小していき、2021年は年間を通じて売り越しています。

図2 安倍政権発足以降の外国人の日本株累計投資額

出所:財務省、武者リサーチ

しかも、日銀は量的金融緩和政策の一環でETF(指数連動型上場投資信託)の買い入れを続けてきましたが、2020年の半ば頃から累計投資額が横ばいで推移しています。つまり、新規の買い入れを行っていないということです。

驚くべきことに、アベノミクス相場をけん引した2つの買い手を欠きながら、日本株はほとんど下がっていません。じわじわと個人投資家が存在感を発揮し始めているとも言えるでしょう。

とはいえ、依然として株式投資が眼中に入っていない日本人は少なくありません。図3の棒グラフは「日米家計の資産配分比較」です。これを見ると、米国人は資産の7割以上を投資信託、株式・出資金に投じているのに対し、日本人の場合は2割弱にすぎないのが実情です。

図3 日米家計の資産配分比較(保険・年金準備金を除いた場合)

注:2021年3月末現在、保険・年金準備金を除く
出所:日本銀行、武者リサーチ