数兆円の経済効果が期待されるIR

そもそもIRとはなんなのでしょうか。IRはIntegrated Resortの略で、日本語では「統合型リゾート」と訳されます。端的にいえば、さまざまな施設が集約された巨大なテーマパークのようなものです。

カジノはIRで注目される施設の1つですが、IR全体の一部に過ぎません。法令では、以下のような施設を一体的に持つものをIRと呼ぶと定められています。

【IR(統合型リゾート)の定義】
​以下の施設を一体的に持ち、民間業者によって運営されるもの

1.カジノ施設
2.国際会議場
3.展示会場
4.日本の伝統、文化、芸術を伝える施設
5.各観光地への運送や宿泊を手配する施設
6.宿泊施設
7.1~6と一体的に運営され、国内外からの観光促進に寄与する施設

出所:e-GOV法令検索 特定複合観光施設区域整備法

IRでは上記のような施設を開発する必要があるため、巨大な民間投資が期待されます。シンガポールでは2つのIR開発で約1兆円、マカオでは1つのIR開発で3870億円の民間投資が実現しました。

【諸外国のIR開発における民間投資額の例】
・シンガポール「マリーナ・ベイ・サンズ」:約4870億円
・シンガポール「リゾート・ワールド・セントーサ」:約5220億円
・マカオ「スタジオシティ」:約3870億円

出所:首相官邸 諸外国におけるIRについて

また、IRは巨大な施設になることが想定されるため、その運営に伴い雇用や消費といった経済効果も期待されています。首相官邸の資料によれば、IRを3カ所設置した場合、建設による経済効果を5兆500億円、運営による経済効果を年間1兆9800億円と試算した民間調査会社もありました。

出所:首相官邸 諸外国におけるIRについて

ただし、IRにはカジノ施設が含まれることから、やはりギャンブル依存症といったデメリットが懸念されることも事実です。このためIRとして認められるためには、カジノ施設の有害影響を排除する施策が行われていなければいけません。