「老後の備えは自分で作らなくてはいけない」そんな危機感がコロナ禍でさらに膨らみ、投資を始める人が増えている。しかし、そうはいっても奥深いのが投資の世界。慣れれば慣れるほど疑問や不測の事態に直面することも増えてくる。

そこで、この連載では「資産形成3年目だからこそ知りたい」用語や投資情報を解説する。第8回は「ETF」と「REIT」について。よく知る金融商品の種類が増えれば投資の選択肢も増える。今回はそれぞれのメリットや注意点について解説する。

ETFは株式のように取引する投資信託

ETF(Exchange Traded Funds)とは、証券取引所に上場している、株式のように取引ができる投資信託だ。主な特徴は以下の通り。

1. TOPIXやS&P500など市場の指標との連動を目指す
2. 株式のようにリアルタイムで、1日何回も取引可能
3. 一般的な投資信託よりも低コストで運用できる

ETFはインデックス型の投資信託同様、それぞれに設定された指数の動きに連動した運用成果を目指す。たとえばTOPIXを指標とするETFには、TOPIX構成銘柄を同じ比率で保有するものもある。また、構成銘柄を直接運用するのではなく、特定の指数に連動して値動きする債券(リンク債)へ投資し、実質的に指数との連動を目指すETFもある。

次に、ETFは上場しているため、株式のように取引ができる。非上場投資信託の場合、価格の更新は1日に1回しか行われないため、注文時点では正確な取引価格が分からない。相場次第では、想定と異なる価格で取引してしまう可能性もあるだろう。また、売買自体も1日1回までとなる。

一方、ETFは証券取引所の開場中であれば自由に取引可能だ。価格はリアルタイムで更新され、価格を指定する「指値注文」もできるため、自分の希望条件の範囲内で取引しやすい。

信託報酬が一般的な投資信託と比べて安い点は、ETF最大のメリットとも言える。非上場の投資信託の運用・取引には以下の3社が絡んでいる。

・投資信託を販売する証券会社や銀行(販売会社)
・投資信託の組成や運用を担う委託会社(運用会社)
・資金を管理・保管する受託会社(信託銀行)

商品の購入には販売会社へ申し込む必要がある。また、信託報酬はそれぞれに分配される。

しかし、ETFは市場で取引するため、販売会社を挟む必要がない。その分信託報酬が低く設定される傾向にあるのだ。