近年、20代など若年層の資産運用に対する関心が高まっていると言われています。金融庁の調査によると、20代や30代を中心としたつみたてNISAの口座開設数が急増しているというデータもあります。コロナ禍で将来の不安が高まったせいか、何かあった時の備えとして、投資で少しでも資産を増やそうというモチベーションが高まったのかも知れません。

若年層の投資への関心が高まる一方、金融リテラシーに課題 

金融広報中央委員会が7月7日に公表した「金融リテラシー調査2022年」をベースにして、第一生命経済研究所の鄭美沙氏が、同調査から読み取れる若年層の特徴を考察しています。それによると、18~29歳の若年層で投資経験者が増えていること、しかしながら金融リテラシーが低いことなどを指摘しています。

ちなみに金融リテラシー調査は過去、2016年、2019年に行われており、2022年が3回目の調査です。対象は18歳から79歳までの3万人で、インターネットによるアンケ―ト調査が行われました。

20代の資産運用に対する関心が高まっているのは、同調査でも明らかになっています。「過去に1カ月の生活費を超える金額のお金を運用したことがありますか」という設問に対して、「資産運用を行った」と答えた18~29歳の比率は、2016年調査では11.6%だったのが、2022年は20.2%まで上昇しています。

また、株式、投資信託、外貨預金・外貨MMFという3つの投資商品を購入したことがあるかという設問に対しては、サンプル全体のうち56.7%は投資経験がなく、1~2商品に投資したことがあるのは30.4%、3商品すべてに投資したことがあるのは12.9%でした。

これを年齢層別にみると、18~29歳で「3商品全てに投資している人」の割合が10.7%、「1~2商品に投資している人」の割合が15.2%、「3商品全てに投資していない人」の割合が74.1%でした。とはいえ鄭氏のレポートによると、「3商品のうちいずれか一つでも購入したことのある人の割合は、全体では2016年から2022年で3.7ポイントの増加だが、18~29歳は10.1ポイントも増加している」ということで、若年層の投資経験者が増えていることを説明しています。