確定拠出年金(DC)を俯瞰すると、企業型DCには企業の退職金の側面があり、個人型DC(iDeCo)には、自助努力としての個人年金の側面があります。2024年12月の制度改定により、この両者(退職金と自助努力)の考え方が混じり合ってくるといえます。

それに伴って、利用者側は「DCは会社が実施しているもの」というスタンスから、「どう活用していくのか」に意識を変えていく必要が出てくると思われます。

会社員にとっての拠出上限額は5.5万円に統一される

2024年12月の制度改定の大枠は、次の通りです。
①  DCの拠出上限額は5.5万円で統一される
②  確定給付型(DB)の「他制度掛金相当額」がある場合は、5.5万円から「他制度掛金相当額」を引いた額が上限額となる
③  DCの掛金とDBの「他制度掛金相当額」を管理するために、情報連携が必要となる。そのため、関係機関による情報連携システムとして、新たに「企業年金プラットフォーム」が構築される
④  会社員のiDeCo拠出上限額が2万円になる(現在1.2万円の層は「他制度掛金相当額」により異なる)

厚生労働省の資料(※1)によると「他制度掛金相当額」は0.5~0.75万円のプランがもっとも多く、1.25万円までで全体の57.1%、2.75万円までで91.7%を占めています。このことから、相当数の方がiDeCoの活用により「自分で拠出」する金額を増やすことが可能になると想定されます。
(※1)社会保障審議会 第18回企業年金・個人年金部会(2020年12月23日)参考資料1より

なお、公務員についても、同様の取り扱いとなります。つまり、共済の年金払い退職給付について、DBと同様に「他制度掛金相当額」を計算し、企業年金プラットフォームを活用することが決まっています。