高木圭さん(仮名)は精密機器メーカーでプリンターなどの販売を担当する営業マン。高校の同級生だった妻、間もなく5歳になる長女と、勤務先が借り上げている社宅で暮らしています。独身時代から社宅暮らしで、それなりに貯蓄はできている方だと思っていました。しかし、そんな高木さんが今年、予期せぬ財産の危機に見舞われます。昨年末から始めた米国株投資で、大切な資産を100万円も溶かしてしまったのです。

高木さんには長女を近くの有名私立小学校に入れてやりたいという思いがあり、そのために資金を増やそうと始めた投資でした。しかし、散々な結果に終わった上に、そのことが内緒にしていた妻に最悪のタイミングで発覚し、激怒した妻は長女を連れて実家に戻ってしまいます。財産に加え夫婦の危機を迎えた高木さんを救ったのが、母親が紹介してくれた、ある専門家でした。高木さんに「一歩間違えたら離婚されていたかもしれない」という苦境を脱するまでの経緯を振り返ってもらいました。

〈高木圭さんプロフィール〉
東京都在住
31歳
男性
会社員(営業職)
妻と幼稚園の娘の3人暮らし
金融資産250万円

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米国株投資を始めたのは、去年の暮れです。入社同期で仲が良かった神野君から、コロナ禍で投資家デビューしてもうかっているという話を聞いたのがきっかけでした。神野君は2020年夏ごろから米国株を買い始め、種銭200万円を、その時点で500万円に届くかというところまで増やしていたのです。

「やっぱり日本株より米国株だよね。ダイナミズムが違う。こういう経験をすると、真面目に働いているのがバカらしくなるよ。オレ、5年後には5000万円ためてFIRE(Financial Independence, Retire Early:経済的自立と早期退職)するから」

簡単に「FIREする」と言ってしまう独身で自宅暮らしの神野君のことを「お気楽でいいよな」と思いつつ、わずか1年半で投資資金が2倍以上になったという話に心を動かされたのは事実です。