ショッピングモールにEC…苦境に立たされる百貨店ビジネス

そごうグループは大手コンビニグループの下で事業を継続していますが、経営は芳しくありません。買収当時、そごう・西武にはおよそ30店舗ありましたが、各地で撤退が相次ぎ現在は10店舗にまで縮小しています。今年1月にはセブン&アイ・ホールディングスがそごう・西武の売却を検討しているという報道がなされ、先日は投資ファンドが買い手に名乗りを上げているとの続報も出ました。

百貨店業界を俯瞰すると、そごう・西武が特に悪いというわけではなく、業績不振は業界全体の傾向のようです。経済産業省によると、百貨店全体の売上高は90年代の9兆円台をピークに下落し続け、2019年は5.8兆円、新型コロナウイルスの影響があった2020年は4.2兆円にまで縮小しました。

どうして百貨店経営はうまくいかないのでしょうか。1つは郊外型ショッピングモールの台頭があるでしょう。「イオン」などに代表されるこれらの業態は近年売上高を伸ばしており、百貨店の顧客を奪った可能性があります。

【イオンの売上高の推移】
・2000年2月期:1兆4224.44億円(―)
・2010年2月期:5兆543.94億円(359.13億円)
・2020年2月期:8兆6042.07億円(592.38億円)
・2022年2月期:8兆7159.57億円(519.06億円)
※()は個別
※2000年2月期は旧ジャスコの値

出所:イオン各期の決算短信より

もう1つはEC(電子商取引)、つまりインターネットショッピングです。EC市場は拡大傾向にあり、経済産業省によると2013年に11兆1660億円だった市場規模は2020年に19兆2779億円にまで拡大しました。インターネット上で買い物を済ませる人が増えたために、実店舗を構える百貨店が選ばれなくなった構図が浮かびます。