「人生100年時代」と言われるようになって久しい昨今。資産形成等で老後資金の準備をしつつも、少しでも長く働いて、長生きリスクに備えたいと考える人は多いでしょう。

そうは言っても、年功序列・終身雇用が当たり前に機能していた時代に社会人になり、経験を積んできた「中高年男性」にとっては、定年後はどうやって働けばいいか、むしろ今からどうキャリアに向き合えばいいのか分からないと悩んでいる人も多いようです。さらに、コロナ禍によって、急速に働き方改革が進められることも悩みを深くしているかもしれません。

今回は特別に、日本総合研究所 スペシャリスト・小島明子氏が多様なデータで「中高年の働き方」の現状を明らかにしつつ、悩める中高年男性、ひいては共に働く多くの人に前向きな提言を送る、書籍『中高年男性の働き方の未来』より第2章『中高年男性をめぐる働き方の課題』の一部を公開。

役職定年が“志気”にもたらす影響、シニア社員と若手社員の認識のギャップなど「中高年の働き方」に潜む課題が明らかに(全4回)。

●第2回はこちら

※本稿は『中高年男性の働き方の未来』(小島明子著・きんざい)の一部を再編集したものです。

シニア社員と若手の「共存共栄」のむずかしさ

これからの中高年社員のあるべき理想の姿は、「若手社員と共存共栄できるシニア社員」である。しかし、現実はむずかしいようである。むずかしくさせている原因は何か。中高年社員自身だけの問題なのだろうか。

朝日新聞デジタルの記事※1では、職場にいる働く意欲の低い中高年社員を「妖精さん」と表現をしている。職場でみかけることが少ないため、「妖精さん」という表現が用いられているが、再雇用等で出社はしているものの、朝早く出社し、夕方は早く帰ってしまうため、職場でみかける機会が少ないという。しかし、「妖精さん」と揶揄している若い人でも、歳をとり、体力、精神力が落ちる時期がくる。問題なのは、「妖精さん」の存在ではなく、「妖精さん」をつくりだしてしまった職場や働き方ではないだろうか。