ESGを運用プロセスにおいて重視したESG関連投資信託(以下、ESG関連ファンド)の設定・運用が増えています。金融庁が公表したレポート「ESG関連公募投資信託を巡る状況」によると、直近で新規設定されたESG関連ファンドの本数は、2020年がアクティブ型35本、パッシブ型6本の計41本でしたが、2021年はアクティブ型74本、パッシブ型22本の計96本になりました。

世界的潮流を受け勢い増すESG関連ファンド

すでにご存じの方も多いとは思いますが、ESGについて簡単にまとめておきましょう。EはEnvironment(環境)、SはSocial(社会)、GはGovernance(企業統治)のことです。簡単に言うと、環境問題に積極的な取り組み姿勢を持ち、社会的な公正さを遵守しながら積極的に社会貢献を行い、かつ健全な経営を行うための自己管理体制をしっかり構築していることが、企業の長期的・持続的な成長に必要であるとする考え方です。

2015年9月の国連サミットでSDGsが採択され、持続可能なより良い世界を目指すための目標が設定されました。そして、企業がSDGs達成に貢献するには、このESGに配慮した経営を行うのが望ましいと考えられています。

また、年金運用をはじめとする長期的視点での運用を行う機関投資家の間でも、運用資産の長期的成長を実現するにあたり、運用プロセスにESGを考慮するべきだという考え方が広まりました。そのひとつの現れとして、昨今、ファンド名に「ESG」を冠した投資信託が増えています。

今回、金融庁が公表した同レポートは、こうしたESG関連ファンドの実態を知るうえで役に立つと思います。ESGに関連した組織体制づくりや、投資先企業を選定するうえでESG評価・データ提供機関を活用しているのかどうか、ESG投資のプロセス開示の現状評価、外部委託の状況などについて記されています。

これを一読した限り、ESG関連ファンドを名乗っている投資信託が増えているものの、どこまで本気でESG投資に取り組んでいるのか分からないというのが、正直な感想です。