2022年5月1日は2020年に成立した確定拠出年金法改正が最も多く施行されるタイミングになります。より長く・より多様な働き方になっている現状に合わせて7つほどの改正事項があるのですが、今回は海外へ帰る外国人、海外に住む日本人への対応として、変わる事項について取り上げてみたいと思います。

増え続けてきた外国人労働者 DCの現状は?

厚生労働省が1月に発表した「外国人雇用状況」の届出状況によると、2021年10月末現在の外国人労働者数は173万人と平成19年に届出が義務化されて以降過去最高を更新したそうです。コロナ禍で技能実習生は大幅に減っていますが、「専門的・技術的分野の在留資格」は前年22.8%の伸びを示しており39万人となっています。外国人労働者を雇用する事業所数も28万か所ですから、もちろん企業型DC制度を退職金として導入している会社も含まれています。そんな会社で長らく課題になっていたのが、企業型DCは他の退職金制度と違って、60歳前に退職した際に支払えないということでした。

企業型DCは老後資金を作ることが目的の制度なので、60歳以降に老齢給付金として支払うのが原則なので、60歳前に退職した際には転職先の企業型DCやiDeCoにそれまでの資産を持ち運んで(ポータビリティ)さらに加入者になって掛け金を積み増しして老後資金を育てていくという制度になっています。

しかし、退職後は母国に戻るという社員にとってはiDeCoの加入者にも企業型DCの加入者にもなれず、iDeCoに資産を移して運用指図者となり、60歳になるまで口座管理料を支払いながら運用のみを続けるしかありませんでした。そして受け取りも、60歳以降に外国から日本のiDeCoの運営管理機関に連絡を取って「老齢給付金」の受け取り申請を紙で行うという現実味のない方法しか用意されていませんでした。