知っておきたい旅行会社破綻の保証制度

てるみくらぶのケースのように清算配当では旅行客は十分な補償を受けられません。そこでより消費者の保護を手厚くするために設けられている制度が「営業保証金制度」です。これは旅行会社に営業保証金として国にお金を預けさせ、破綻時にそこから弁済を行う制度を指します。海外旅行の募集などを行う第1種旅行業者は最低でも7000万円の保証金を預けなければいけません。

旅行業協会(日本旅行業協会、全国旅行業協会)に属する旅行会社は営業保証金制度に代えて「弁済業務保証金制度」があり、こちらは営業保証金制度の5分の1の保証金を預ける制度です。弁済はその5倍まで行われるため旅行者は営業保証金制度と変わらない補償を受けられます。

もっとも、てるみくらぶの場合はこれらの保証金制度も十分とはいえませんでした。同社は日本旅行業協会の会員だったため弁済業務保証金制度から1億2000万円が弁済されていますが、これは申し出があった金額のおよそ3.5%に過ぎません。旅行代金100万円に対して3万5000円しか取り戻せず、消費者には大きな負担が残ってしまいました。

出所:日本旅行業協会「株式会社てるみくらぶの認証結果について」

てるみくらぶは特に悪質なケースであり、通常のケースなら保証金制度で十分保護されるかもしれません。もし心配なら「ボンド保証制度」に加入している旅行会社を選んでみてはいかがでしょうか。日本旅行業協会の会員旅行会社が任意に加入する制度で、保証金制度に上乗せの弁済が受けられます。

【旅行会社の保証制度】

 

また、旅行代金をクレジットカードで決済した場合「支払い停止の抗弁権」を用い支払いを止められる可能性があります。

出所:日本クレジット協会「支払停止等の抗弁に関する手続きについて(ご案内)」

いずれも必ず代金を取り戻せる方法とまではいえませんが、知識として覚えておくとよいでしょう。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。