投資信託の「購入時手数料」は本当に必要?

投資信託のコストには、投資家である受益者の保有期間中、信託財産から一定率を徴収する「信託報酬」と、投資信託を購入する際に購入金額に対して一定率を販売金融機関に対して支払う「購入時手数料」があります。

他に「解約手数料」を設定している投資信託もごく一部ではありますが存在していますし、「その他の費用・手数料」として、組入有価証券等の売買の際に発生する売買手数料、監査法人等に支払う投資信託の監査に係る費用、さらにインデックスファンドであれば、連動目標としているベンチマークを算出・公表している会社に支払うライセンス・フィーもあります。ただ、いろいろな意味で投資信託の二大コストといえば、信託報酬と購入時手数料になります。

今回は、二大コストのうち購入時手数料を取り上げてみましょう。「そもそも購入時手数料は必要なのか」という素朴な疑問が浮かんできたからです。

ここ数年、オンライン証券会社やオンライン銀行でも積極的に投資信託を販売するようになりました。そのなかで、対面営業を行っている金融機関が、当然のような顔をして徴収していた購入時手数料を取らずに、投資信託を販売するオンライン金融機関が増えてきました。

会社の違いはあっても同じ金融機関です。しかも、販売している投資信託は全く同一なのに、対面営業を行っている金融機関の窓口で購入すると購入時手数料がかかり、オンライン金融機関で購入するとかからないという、二重価格が出現したのです。

では、なぜオンライン金融機関は投資信託の販売に際して、購入時手数料を取らなくなったのでしょうか。それは取る理由がないからです。購入時手数料を販売金融機関が求めるのは、それに相応しい役務の提供が行われていると考えられているからです。その役務とは、投資信託の目論見書に、以下のように記載されています。

① 商品および関連する投資環境の説明および情報提供等。
② 購入に関する事務コスト。

対面営業型の金融機関の窓口で投資信託を購入する場合、目論見書などの法定書類が提示され、窓口の販売員から投資信託のリスク要因や昨今の投資環境などについて説明を受けます。これが①に該当する部分です。

次に②の部分ですが、さまざまな説明を受けて購入する場合、注文を発注したり、入金手続きをしたりなど、いくつかの事務手続きが発生します。これらの作業が、販売金融機関の販売員から顧客に対して提供される役務であり、これに対して顧客は購入代金の2%、あるいは3%の購入時手数料を支払うのです。

当然、投資信託を販売する側としては、相応の役務を提供しているのだから、それに見合った購入時手数料を受け取るのは当然だと思っているでしょう。