2020年、拠点を東京から徳島に移し、現在はオンライン専門のアドバイザーとして活動を行するカン氏。コロナ禍で世界が一変する中、多くの業種が新形態を模索しています。そんな中、「FP×リモート(オンライン)」をすでに1年以上行っているカン氏にどのような変化を感じているかをうかがいました。

さらに、なかなかお金の相談業だけで生計を立てるのは厳しいとも言われるFP業界で「純然たるお金の相談」を掲げ、21年もの実績があるからこそ感じる「FPとはどのようにあるべきか」の理想像について深堀り。FPの本質的価値はカウンセラーであり、そのためにも相手の話を一から十まで受け止められる、乾いたスポンジのような存在であることが重要だと言います。そこには私たちはFPとどのように向き合えば良いのかのヒントも垣間見えます。

 

お話を伺ったのは…

 

投資信託クリニック 代表
インデックス投資アドバイザー
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

カン・チュンド

不動産会社に6年間勤務後、2000年に晋陽FP事務所(当時)を設立。2013年に屋号を晋陽(しんよう)FPオフィスに変更。2019年、屋号を投資信託クリニックに変更。開業以来一貫してシンプルで継続しやすい資産運用の必要性を説く。2009年1月に始まった投資家有志のイベント「インデックス投資ナイト」には毎年登壇。また「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year」の運営委員を務める。今でも毎日1本は、投資信託の運用レポートに目を通す。

ライフプランに寄り添わず不動産を売る自分に疑問を感じた

――FPを志したきっかけについて教えてください。

FP資格を取得する以前は、不動産販売に携わっていました。

マイホームの購入は人生の重大イベントの一つです。だからこそ、住宅ローンはお客様の収入やライフプランを踏まえ、その人に合った商品を紹介するべきではないでしょうか。にもかかわらず、当時の私はお客様の家計や資産状況について知ろうとせず、どちらかといえば仲介手数料収入のことばかり考えていました。

今振り返ってみても、「本当にあの人に住宅ローンを組ませて良かったのか」と後悔することもあります。

そんな自分や仕事の在り方について疑問を持ち、人生のお金の問題について知ろうとしたのがFPを志すきっかけでした。お金についての基本的な考え方を伝えることが、顧客目線を欠いて不動産を販売していた自分の責任であり、使命だとも感じていたんです。

そして、CFP®の取得後、FPとして独立してから資産運用やポートフォリオ作成など、金融資産運用設計の相談をメインに活動しようと決めました。